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「リーガエスパニョーラへ道場破り ニッポン人 名門クラブ経営の舞台裏」をみていただいた方へ

昨晩、WOWOWの「リーガエスパニョーラへ道場破り ニッポン人 名門クラブ経営の舞台裏」をご覧いただきましたでしょうか?我々も初めて、編集されたものを見させてもらいました。、サバデルというチームを知ってもらうために足かけ1年弱、高橋を中心に追っかけ取材をしていただき、出来上がった番組です。「サバデルを1部に、そして日本人選手のヨーロッパへの登竜門に」という長いストーリーの序章をうまく表現いただき、とても感謝しています。

番組のなかで、時間の関係上、あまり説明できていなかった部分について、せめてごのブログを見ていただいているみなさんには、サバデルの経営方針について補足させていただきたいと思います。

まず、日本人選手2名の獲得について

ロカ強化部長とのやりとりで、2つある外国人枠を日本人選手に、そしてロカ強化部長は1つを日本人に、そしてもう一つを違う外国人に構想しているという表現がありました。ここだけを取り上げると、我々が日本人選手を2名、無理やり入れようとしているように見えます。しかし、現実はこうでした。

ロカ強化部長が主張している外国人選手は、チェルシーからレンタルしいてるウリ選手を指しています。ウリ選手はU21メキシコ代表のとても素晴らしい選手です。しかしながら、実際は、当時のカレーラス監督の構想には入っていませんでした。カレーラス監督のサッカーには、いくらチェルシーからレンタルしているU21メキシコ代表のウリ選手も、不要な選手だったのです。そして、チェルシーからウリ選手のサバデルへのレンタル条件は、ウリ選手の年棒はすべてチェルシーが支払いサバデルの金銭的負担は勝利給以外、一切ありません。そして仮にウリ選手が大活躍して他のチームに移籍することになったとしても、サバデルへの移籍金の支払いは0という契約でした。つまり、ウリ選手がサバデルで出場して活躍して他のチームに高い値段で買われたとしても、サバデルは金銭的収入が0なのです。サバデルがウリ選手に出場機会を与える理由は、サバデルが勝ち点を稼ぐことのみなのです。それ以外には、なにもありません。しかし、監督の構想には、ウリ選手は入っていないのです。つまり、ウリ選手を勝ち点をとるための選手としてあてにしていないということでした。

じゃ、なぜ、ウリ選手をロカ強化部長は構想にいれようとするのでしょうか?

表向きの理由の一つは「チェルシーとの関係をうまく維持したいから」でした。関係維持のためだけに、大切な外国人枠を1つ無駄に使うというのです。また、裏の理由だと想像しますが、ウリ選手の代理人とロカ強化部長はビジネス以上の付き合いがあるようです。

表向きの理由であろうが、裏の理由であろうが、チームとしてウリ選手を選択するよりは、日本人選手を2人獲得することを検討するほうが、はるかに理にかなっているし、我々の経営指針に沿ったチーム構成になると考えました。そして、そういう背景があるにも関わらず、ウリ選手の契約更新をすすめようとするロカ強化部長を納得して契約継続をやめさせるためには、経済的メリットを得るために日本人選手を2人獲得する経営方針に従ってほしいと説得することが最適の方法だと選択したのです。

現実、日本人選手の加入は田邉選手の1名だけしか実現していません。8月31日までの移籍ウィンドが閉じるまでは確定ではありませんが、新監督ハビには、チームのために必要な選手を補強するように依頼しています。補強される選手が、できれば、日本人選手であれば嬉しいですが、もっとも重要なことは、チームに貢献できる選手を適正な値段で補強することだと伝えてあります。

そして、番組後半、あっさりと触れられていた旧経営陣との増資、及び経営方針についての確執の話ですが、7月30日の新取締役の発足が正式に承認された後、回顧録的にこのHPで公開する予定です。番組の構成と放送のタイミング上、あまり触れられていませんでしたが、興味のあるかたはこのブログをチェックしてください。できれば、WOWOWさんが番組の続きを収録してくれればもっといいのですが、みなさん、視聴者としてWOWOWさんに要求してくださいね^^

今後ともサバデルの応援をよろしくお願いいたします。

 

 

 

2013年6月18日(火):サバデル取締役会を終えて

取締役会を終えて、「あぁ~~、疲れた、そして、ほっとした」というのが正直な感想です。

取締役会を開催するまでが大変でした。なんといっても、私はただの株主で、取締役ではありません。例えば、取締役達は、クラブで公に記者会見ができ、クラブの公式見解ですと言えますが、私はクラブを代表した意見は言えません。つまり、世論に対してクラブは公式発表を使って意見を言えますが、私はあくまで個人的意見で、独自のルートを使ってしか発言できません(もともと理由がない発言をするつもりもありませんが・・・)。

また、取締役といっても一枚岩ではなく、それぞれに意見を持っていますが、最後は、声の大きいひとの意見に流されてしまう傾向にあります。なので、それぞれの本音と、建前やこれまでの関係といった、しがらみがある中での取締役会の採決投票とのギャップを埋めることに大変、時間と労力を費やしました。本当、まるで国会における党拘束を優先するか、個人の信念かといった戦いでした。

しかしながら、結果、サバデルのファンのみなさん、市役所、そして最後は取締役会においても、全員が納得をして新体制に移行することに賛成してもらえたと思っています。本当によかったです。

これで、明日以降、さまざま懸案事項について、正式に取り組んで、正式に物事をすすめることが可能になりました。

別途、ニュースで公開しましたが、新体制の発足は7月2日を予定しています。新体制が発足されて、新体制が株主総会で承認されたのち、今回の経緯について報告する機会を設けます。スペインのフットボールクラブで何がおこったかは、私も初めての経験だったのでなかなか驚くことも多かったです。その際に、ゆっくりこのブログででも回想録として綴りたいと思います。

いろいろとご心配をかけましたが、これで新体制をつくって来シーズンにしっかり向かっていけます。ひきつづき、サバデルに注目頂き、変わらぬ応援をよろしくお願いいたします。

坂本圭介

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合意直後の取締役会の様子

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合意書類(さすがに、書類の内容はマスクさせてください。ニュースで公表した内容と同じと思って構いません)。

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議論はありましたが、最後は、全員でクラブのために最善の方法について合意しました。取締役のみなさん、ご理解と協力をありがとうございます。

 

個人的感想 - 坂本圭介からのメッセージ

私のような経営者が、「スペイン」という縁もゆかりもない国の「国技サッカー」に携わり始めて2年が経とうとしています。あれよあれよで、サバデルの株式を取得することになってから10ヵ月。今、報道されていることとはあえて「無関係」と強調しておいて、サバデルを通してみた、スペイン2部Aと2部Bの経営についての考えと、私の考えるビジョンをシェアさせてもらおうと思います。

サバデルの歴史は1993-1994シーズンから18シーズン連続で2部Bと3部で過ごし、2011-2012シーズンで19年ぶりに2部Aに返り咲いたクラブです。

ここで知っておくべきことは 「2部B=アマチュア」、「2部A=プロフェッショナルリーグ」ということです。

つまり、2部Bは、町のアマチュアクラブ。みんなで会費を募ってユニフォームを揃えたり、遠征にでかけたり、協会への登録費用を払ったり。ほとんどが、経費の捻出を必死で行って、年間のオペレーション規模は約5000万円程度。

2部Aはプロフェッショナルクラブ。つまり、スペインプロフェッショナルサッカーリーグに所属して、放映権や助成金が分配され、クラブがお金を稼ぐために存在するクラブ。年間のオペレーション規模は約5億円。

2部Bのチームって、近所の町クラブなので、どういう人から会費を集め、その会費をどのように使うか。サークルの庶務さんみたいにイメージですね。ただ、サークルのように規模が年間10万円程度ではなく5000万円だから、どうしても信用できる名士(お金には困ってない、時間のあるいい人)が会長をしている傾向にあります。この場合、「経営」というよりは「管理」が仕事になるのです。

2部Aのチームは、オペレーション費用が5億円あるわけですから、それを資金として収入を増やし、選手の補強をして1部を目指すという「経営」が求められるわけです。ちなみに1部の運営資金は一番少ないチームで約25億円以上の規模となるので、2部Aと比較しても5倍以上です。

私はよくクラブ経営をレストランビジネスに置き換えて話をします。想像してみてください。年間5000万円の売上のレストランが2部Bのチーム。年間5億円の売上のレストランが2部Aのチーム。年間の営業日が300日と仮定すると

2部B = 年間5000万円 = 16万6千円/日の売上

2部A = 年間5億円 = 166万円/日の売上

一日の売上が16万6千円の店と、166万円の店では、経営者、支配人、キッチン、料理人のやることが大きく違うことが想像できませんか?

2部Bのチームの場合、それは町クラブですから、クラブ経営者は市役所のなかの食堂経営をボランティア(無給の名誉職)で任されている状況と置き換えてもらえばいいんじゃないでしょうか?チームが2部Aに昇格することは、突然、市役所の食堂がの売上が10倍になったのと同じことが起こります。おなじ料理なのに、突然、店がいつも一杯になり、客が今までの価格の5倍以上の値段を払い始めたのです。ボランティア経営者として、市役所の食堂を予算のなかで市民の胃袋を満たす経営をすればよかったのに、突然、営利目的の「レストラン」に食堂も自分自身も変わらなければならなくなったのです。

経営者は引き続きボランティアですが、いろんなことが起こります。お客を増やすために店舗を広げてみてはどうか?TVにCMを出してみては?店舗を隣町にだしてみたはどうだろう?食材は、日本から取り寄せてみては?いろいろな判断、誘惑が突然、降りかかってきます。

そういう状況の変化に、経営者自身も変わる人もいれば、変わらない人もいる。そして、その変化がレストランをさらによくする場合もあれば、ダメにしてしまう場合もある。

食堂に通っていたお客さんにもいろいろな心の変化がおきます。前の方がよかった。いや、もっと大きくいいレストランになってほしい・・・

どれが正解かはわかりませんが、私が一つ思っているのは、突然、大きく変わることではなく、我々は一緒にステップバイステップでともに進むことです。なので、来季に日本人監督、日本人GM、日本人選手2名を同時にとり、出場保証する・・・ まったく、私の構想外です。

ステップバイステップ。

サバデルの人達の1部昇格の夢に、我々の夢を重ね合わさせてもらう。それを実現したいと思います。

引き続き、応援をよろしくお願い致します。