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ヨーロッパの移籍期間を終了して その2

昨日はまず、サバデルの最後の補強について書きましたが、今日は他の話題の選手やチームについていくつか書きたいと思います。

まず、レアルマドリードについて

ご存知モウリーニョが去ったあとイタリア人監督:アンチェロッティが就任した。トッテナムからMF:ベイルを130億円とも言われる移籍金を支払って獲得したレアル。一方、カカは契約満了で古巣ミランに戻ることに。振返ってみるとレアルがカカの取得にミランに支払った移籍金は09年で89億円。4シーズンでリーグ戦82試合の出場にとどまった。ベールは24才、カカ31才、カカからすればクラブが自分と同じポジションに130億円と言われる移籍金を支払って若手をとろうとしていることは暗に「お前はもういらない」と言われたに等しく、チームの意思に抗ってレギュラー争いをするよりは、出場機会を求めて古巣に戻る選択をした。一方、エジルをアーセナルに65億円を超える移籍金で売却したのは、ベイルの移籍金を捻出するためではと推測します。

ベールの移籍、カカの移籍の発表が移籍期間が終了する直前。エジルが移籍後に、レアル退団の理由を「8月26日のグラナダ戦で途中交代、9月1日のビルバオ戦ではベンチスタートで、監督の信頼がないことがわかった」と語っている。ベイル獲得ありきで、首脳陣が各選手が移籍につながる環境を準備した意図を感じます。

限られた資金と保有選手数のなかで、どういうチーム編成を考えるか。チーム編成には、強い個性をもった「サッカー選手」という「人間」を「使う、使わない」で採用したり、切ったりしなければならない。チームと選手との考えが一致しないと、そこには色々な感情的軋轢が生まれます。

チームが扱うのが「物」ではなく、「人間」だということが、感情を巻き込んで様々なドラマを生んでいます。サッカーに携わる人たちは、その感情までを含めて、「サッカーだ」と言います。その感情が、また、ゲームでのパフォーマンスを左右し、チームの勝敗を左右し、選手としての評価も左右することになるのです。

そういった視点で移籍を考えると、また違った感覚でサッカーが観戦できるのではないでしょうか?想像してみてください。チャンピオンズリーグで、レアルとミラン、アーセナルが対戦しているところを。ベイル、エジル、カカはどんな気持ちでプレーするんでしょうか?

 

 

 

ヨーロッパの移籍期間を終了して その1

9月2日を持って、ヨーロッパの移籍期間が終了しました。各チーム、選手、色々な思惑をもって、情報操作しながらの移籍交渉が終了し、それぞれが決められたポジション、チームで冬の移籍期間が始まるまでの4か月の間、腰を据えての戦いが始まります。

いろいろと思うところはありますが、まず、サバデルの最後の補強について。

ラウール・タムードの加入が、最後の最後で決まりました。まず、ラウールの経歴はこちらを参照ください。

簡単にご紹介すると、1977年生まれの35才。エスパニョールに1997年から2010年まで13年間在籍し、クラブ歴代最多出場:340試合、クラブ歴代最多の129点をとっている元スペイン代表FWで、スーパースターです。

なぜ、サバデルに? もちろん、ラウールは選手としてのピークは過ぎていますが、

  • まだまだシーズンを通して10-15点は取るという意気込みがあり、自分に自信がある
  • 給与やキャリアではなく、1才の子供を抱えた家族がいる地元で暮らしたい
  • サバデルの1部へのチャレンジに一緒に挑戦したい

という3つの理由から、移籍期間が終了する9月2日にサバデルのオファーを受けてくれました。

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ラウールの入団会見になんと350名ものサポーターが集まりました。そして、会見後はラウールはサイン攻めです・・・

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是非、活躍してもらってプリメーラ昇格に貢献してもらえたらと思います。期待してください!!

 

 

FC東京さんにお邪魔してきました!

6月26日(水)の午後、FC東京さんの小平グランドにお邪魔してきました。

梅雨の雨が降りしきる中、FC東京 vs 明治大学の練習試合を拝見しました。Aチーム、Bチーム、そして練習生と、雨の中でモチベーションを保つのが大変な状況のなかながら、白熱したゲームを見ることができてとても参考になりました。

練習試合を拝見した後、すでに公式発表されている田邉選手との契約調印を行いました。田邉選手は、先般のFC東京の合宿からすこし体調を崩しているということで、今日はオフでしたが、調印に足を運んでくれました。

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5月末の練習参加から、サバデルの街とチームをとても気に入ってくれて、新しい環境で新たな刺激を受けて成長したいという田邉選手。提携後、初めての移籍選手としてのプレッシャーもあるかと思いますが、そこはマイペースで冷静な田邉選手、きっとこのチャンスを自分のためにうまく利用してくれると思います。

そして、恒例のサバデルのユニフォームを手に記念撮影626-3

626-4慣れない環境なので、イイことも辛いこともたくさんあると思いますが、我々とそして、FC東京のファンのみなさんの後押しを受けて、共に戦って行きましょう!

みなさん、チーム及び田邉選手の応援をよろしくお願いいたします!!

独記者が宇佐美の将来に疑問符 「このままでは完全移籍は困難」

サッカーキングに表題の記事が掲載されています。

宇佐美選手の語学力についての記事で、

「“言葉の問題”によりベンチ入りすらかなわない時期も経験した。
今冬にマルコ・クルツが監督に就任したことで、再び出場機会を得るようになった宇佐美だが、グリューナー氏は「好不調の波が激しく、信頼を置ききれない」と指摘。宇佐美の語学力が十分ではないため、周囲と満足なコミュニケーションを取れないことが飛躍の妨げになっているとの見解を示した。」(記事抜粋)

とあります。

Jリーグからブンデスリーグには、10名以上の日本人選手が渡っていますが、言葉の問題で苦労して活躍できない選手は少なくありません。実は、ブンデスリーグでは、「ピッチ上に通訳を入れるのは試合の雰囲気が乱れる」ということを理由に、良しとしないという習慣でした。

ところが、2010年にブンデスリーグ:ドルトムントに移籍した香川選手が言葉の問題を抱えていたことがきっかけで、当時のドルトムント監督:ユルゲン・クロップは、それまでの慣例に反して、通訳をピッチに入れることをよしとし、香川選手がパフォーマンスを発揮できる環境を整えました。

その後の香川選手の活躍は、みなさんがご存じのとおりで、ブンデスリーグでは、香川の件をきっかけに「コミュニケーションができない選手には通訳をつける」という流れができつつあるとのことです。

しかしながら、例えば、柏からハノーファーに移籍した酒井宏樹選手は、移籍直後には通訳がつきませんでした。そして、パフォーマンスが出ずに苦労していることについては、このブログでも取り上げたことがあります(こちらを参照)。おそらく、宇佐美選手にも通訳がついていないのではないかと思います。幸いかどうかわかりませんが、今年から、チームは酒井選手のために通訳をつけるようになったそうです。

では、宇佐美選手にも通訳をチームがつければいいという話になるでしょうか?チームにとっては、雰囲気の問題は別にしてもコストの問題があります。チームにとってはより、負担が増えますよね?それで、パフォーマンスが向上するという保証になるなら別ですが、パフォーマンスが上がらなければ、契約を解除する立派な理由になります。宇佐美選手の場合は、レンタル契約の解除ですね。

レンタルが解除された場合、宇佐美選手に興味を示すチームもあるでしょうが、ヨーロッパのチームにとっては「宇佐美選手は、言葉の問題でパフォーマンスが発揮できなかった選手」というレッテルがついています。それを払しょくするだけのパフォーマンスが必要になるのです。

通訳の準備というよりも、移籍前及び移籍後に適切な語学学習プログラムを受入の体制として準備しておくことが、クラブにとっても選手にとっても大切だと、また感じる記事です。

 

2012-2013シーズン 冬の移籍ウィンドが閉じて

2013年1月31日で、このシーズンの移籍ウィンドが閉じました。

話題にもさせてもらいましたが、長谷部選手のプレミア フラム移籍はなかったようですね。1月31日の最終日になって発表された有名選手の移籍は

ベッカム PSG(パリサンジェルマン)

バロッテイリ ACミラン

ですね。いったい移籍金はいくらだったのでしょうか?

今日は、この移籍金に関する知識をすこしお話したいと思います。

歴代の移籍金トップ5(金額は推定で1€=120円換算)は

(1) クリスティアーノ ロナウド / マンU ⇒ レアルマドリ―ド  112億8千万円(2009年)

(2)ジネディーヌ ジダン / ユヴェントス ⇒ レアルマドリード  88億2千万円(2002年)

(3)ズラタン イブラヒモヴィッチ / インテル ⇒ バルセロナ 83億4千万円(2009年)

(4)カカ / ACミラン ⇒ レアルマドリード  78億円(2009年)

(5)ルイス フィーゴ / バルセロナ ⇒ レアルマドリード  72億円(2001年)

例えば、レアルマドリードは、2009年にロナウドとカカを移籍で獲得していますが、その資金は190億円です。2007-2008年シーズンのレアルマドリードの収入は480億円。つまり、チームの年間収入のほぼ40%を選手の獲得のための移籍金として支払っている状態でした。

なぜ、これほどまでに移籍金が高騰するのか・・・ 一般的には「UEFAチャンピオンズリーグに参加して勝ち残ることで得られる収入をあてにした先行投資」という考え方が招いている負のスパイラルと考えられています。UEFAは、この負のスパイラルを打ち切って経営の健全化を図るために、「UEFAクラブライセンス制度」を2004-2005シーズンから導入しています。しかし、それでもヨーロッパの有名クラブは、莫大な資金を投入して選手の争奪戦を継続して、その負債をオーナー私財や銀行からの借入金で埋めるということをやめませんでした。そんなおり、2008年のリーマンショックをきっかけにオーナーの資産が目減りして銀行の経営が悪化する中、2009年に「Financial Fair Play」、日本語になおすと「経営的フェアプレー」という財務規定が「UEFAクラブライセンス制度」に加えられることになりました。

「経営的フェアプレー」とは、簡単にいうと

各クラブは収入に見合った支出しかできない。借金はできない

ということです。

この規定は、当初は2011‐2012年シーズンと2012‐2014年シーズンの2シーズンを通じた収入と支出の評価を2013-2014年で実施します。そして、それ以降は3年間の周期で実施するというものです。この規定のすごいところは

2017-2018年シーズンまでは、クラブが抱える赤字の補てんは、増資または寄付によってのみ行うことができる(銀行からの借り入れは不可)

2018-2019年シーズンは、赤字は一切認めない

ということです。つまり、2018年シーズンの開幕から、クラブ収入に見合わない移籍金を投じての選手争奪戦はできなくなるということですね。では、クラブは選手の争奪戦ができなくなるとどうやって強化を実施するのでしょうか?つまり、育成によっていい選手を育てることに注力せざるを得ない状況になるということです。2018年の開幕は今からちょうど5年後です。

我々は、そういったヨーロッパリーが「選手の争奪」から「選手の育成」という大きな転換期の中で、まさに、サバデルというチームと共に育成に携われる機会に恵まれていることを本当に感謝したいと思います。

2018年には、才能ある日本人選手のヨーロッパデビューを是非、成功させていた思います!